Case Study 活用事例

工程が進んでも、品質は進まない 工程と品質の間で現場に起きていること

工程が進んでも、品質は進まない 工程と品質の間で現場に起きていること

| 「終わった」は本当に終わったのか?

建設、建築現場では毎日たくさんの報告が飛び交います。
「完了しました」
「予定どおりです」
「問題ありません」

監督は工程表を見ながら進捗を確認し、職人は作業を終え、完了を報告する。
一見すると順調です。

工程の上では完了している。
しかし品質の上では終わっていない。

実は小さな確認漏れやズレが山積して、後々致命的な問題として表れてきます。

例えば
・基礎のクラックによる腐食
・構造金具の不足による耐震性能の低下
・断熱材の隙間やずれに起因する内部結露

このような事は決して、少なくありません。


| 出来高払いが悪いわけではない

日本の多くの建築業界では、
委託した業務の成果や進捗度合いに応じて報酬や代金を支払う
出来高払いの仕組みがあります。

工程ごとに区切りながら、またはラップしながら仕事を進めていて、
とても合理的な仕組みです。

しかし出来高払いには一つ特徴があります。
それは、「終わったこと」に対して評価されるということです。

つまり、
早く終わること、予定どおり終わることが評価されやすいのです。


| 「終わった」をどう証明するか

ここで一つ考えたいことがあります。
「終わった」とは、誰が判断するのでしょうか。

職人が「終わりました」と報告した時点なのか。
監督が工程表に完了の印を付けた時点なのか。
それとも、品質まで確認された時点なのか。

例えば、配筋工事が予定どおり終わったとしても、

現地確認すると鉄筋の定着長さが不足していたり、
固定金物の取付け忘れが見つかったりすることがあります。

つまり、作業は終わっていても、品質はまだ終わっていないということです。

建設現場では、「施工の完了」と「品質の完了」は必ずしも一致しません。
だからこそ、本当に重要なのは工事を終わらせることではなく、
終わったことを確認できる状態にすることです。


| 品質管理は「完成」を証明する仕事

品質管理は、施工を止める仕事ではありません。
現場の足を引っ張るためのチェックでもありません。
「この工事は設計どおり施工されている。」
「この是正箇所は確かに直っている。」
「この工程は次へ進んでも問題ない。」

その事実を確認し、履歴として残す仕事です。
だから品質管理は、工程管理が終わったあとに行う最後の作業ではなく、
工程管理と並行して進めるべき業務と言えます。
施工 → 確認 → 必要なら是正 → 再確認

この流れがあって初めて、その工程は本当の意味で「完了」と言えます。


| まとめ

工程管理は「予定どおり進んでいるか」を管理する仕事です。
一方、品質管理は「正しく施工されているか」を確認する仕事です。

工事は、作業が終わっただけでは完了とは言えません。
確認し、必要に応じて是正し、その履歴を残して初めて、本当の意味で完了になります。

出来高を積み重ねることは工事を前へ進めます。
しかし、品質を積み重ねるのは、一つひとつの確認と是正です。

「終わらせること」ではなく、「終わったことを証明できること」。

これからの品質管理には、その仕組みづくりがますます求められていくでしょう。

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